●本年もよろしくお願いします |
本年もよろしくお願いします。
昨年は、京都RAGさんでの初ライブ、新横浜でのワークショップを含んだライブと、大変に思い出深い体験をさせていただきました。
今年は「夏!」です。
詳細は、このブログとニュース欄でお知らせいたしますが、今年は8月!
夏を奏でられるのはサザンオールスターズやチューブだけではないのです。
(う〜〜ん、今の若者が夏に何を聴いて盛り上がるのわからん。よって
上記2グループのセレクトとなってしまった)
さて、今年は昨年に引き続き大阪堪能の旅で幕を開けた。
もともとお笑いは好きだったが、4~5年前からそれが再燃して、
「これはいつか“上方演芸の聖地・大阪なんば”を訪れないとなあ」と
思っていた。そして昨年の冬休みに初めて「なんばグランド花月」を始めと
するお笑いの殿堂に身をゆだねたのであった。
小学校のころは、新宿の寄席に連れて行ってもらったりしていたが、
あれから40年ちかく生のお笑いを体験していなかった私にとって、
テレビとは桁違いの迫力の「芸」は感動的ですらあった。
ブラックマヨネーズやチュートリアル、麒麟、中川家といった
しょっちゅうテレビで見る今が旬(、、、、忙しすぎるのか、ネタが
昨年前半から明らかに失速気味だが)の若手のエネルギッシュなライブはまるで
ボーカリストが唾を飛ばして叫びまくるパンクロックのようだったし、
ほとんど東京のテレビには出演しない中堅どころの漫才師たちの
年季の入ったおきまりギャグもそれぞれ個性的でお腹が痛くなるほど笑った笑った。
80年代のお笑いブームの時にはまったく面白いと思えなかったB&Bが
復活していており、これがうまいのなんのって。
観客の熱気をエネルギーに組み入れてエンディングに向けてどんどん加速して
ゆく漫才はさながら70年代PFMのライブアルバムのようであった。
中田カウス・ボタンの話のリズムの素晴らしさにも感動した。
カウス師匠の足をみていると私には明らかにリズムをとっているように感じられた。
まあ、足だけというより全身なのだろうが、とにかく至芸といえよう。
そのほか、ベテラン漫才師たちの動き自体がテレビでは伝わりにくい「芸」であり、
「才能」でもあることを感じた。動きだけで「おかしい」と感じさせる
ぜったいに素人にはマネのできない動きで、これぞ鍛えられた芸人ならでは
なのであろう。
若造ギタリストがいくらライトハンドやらスイープピッキングで早弾きしても、
エリック・クラプトンの味わい深いチョーキングビブラート一発にかなわないのと
同じなのだ。
というような感想をもった昨年の体験が忘れられず今年も大阪に行ったのである。
今年は昨年時間の都合で見ることができなかった松竹演芸のB1角座の吉本興業とは
またひと味違った漫才師たちを楽しむことができたし(横山たかしひろし最高!)、
これも昨年時間切れですべてを楽しむまで至らなかった「わっは上方」の
ビデオライブラリーにて
昭和のお笑い名人たちの映像も時間の許す限り堪能できた。
さらに大阪滞在最終日に、「わっは上方」のビルの7階だかの小ホールにて、
お笑い芸人をめざす若手の無料ライブがあったので、それものぞいてきた。
若者ミュージシャンの街頭ライブのような、あるいは私も昔何度もやったことのある
町の公民館の一室を借りてのライブのような、そんな手作りの公演だった。
客は、私と家族のほかは1O人くらいだっただろうか?
私も年をとったためだろうか、若者が熱演している姿を見るのは楽しい。
、、、、、しかし、つ、つ、つまらない。
一所懸命やっているのだろうが、笑えない。
もちろん、まだ芸と言えるものがないのは仕方ない。
そうでなくて、明らかにお笑い芸人に対するあこがれだけで、
(素人の私が言うのも何だが)才能ないんじゃないかな〜〜?という感じ
の若者がほとんど。
中高生のロックバンドを見ていると、「ああ、ここはこうすればもっとよくなるな」
とか、「おっ、ボーカル、音程さえもうちょっとよくなればいいじゃない」とか
「ドラム、荒削りだけど良いモノ持っているな」とか
理屈で理解できるのだが、お笑いは素人なだけにかえってつらくなる。
私は今でも、全身にまっかなかぶりもの(まるで泥棒が全身に真っ赤な巨大なストッキングを
かぶったかのような)で登場した、明らかに肥満した若者のことが頭を離れない。
彼は「あは、赤血球です」と登場しただけで、ネタを忘れたのかしばらく
何もしゃべらないのだ。見ているこちらが心配になるほど無言。
そのあと「おっ、おまえは誰だ、あ、ウイルスだな」、、、、、、もしかしたら
いわゆるシュールな笑いをねらっているのかもしれないが、、、、
おじさんは見ず知らずのこの真っ赤な若者の将来がとても心配になっただよ。
さて、大阪といえば「食い倒れ」と言われるくらい食文化が発達しているが、
本当においしい店というのは現地のひとや大阪に精通しているひとに訊かないと
分からないということで、事前情報を得て昨年も今年も味わってきたのであるが、
今年これはガイドブックに必ずといっていいほど載っている「自由軒」という
定食屋、メニューとしては「名物カレー」というのが文字通り名物である
定食屋が印象に残った、、、、料理でなく店員同士のケンカが。
ものすごく混んでいる時間帯、店の外には長い行列、店に入ると
年季の入ったおばさん店員がばたばたと動き回っている。
その店員たちを銭湯でいうと番台のような場所(実際はレジなのだが)から
大声で時として罵声で指示する吉本新喜劇にでてくるおばさんを思わせる
強力なヘアスタイル(故・塩沢トキさんを彷彿とさせる)のチーフおばさん。
「あんた何やってんねん!」「私の指示通り動いてや、(小声で)アホやわ〜」
「もういっぺん、全部オーダー止めて!私が最初からまとめるわ、こんなんじゃ
らちあかんわ」などと叫ぶ合間にきちんとレジもこなし、その時は当然
ちゃんとお客さんに接しているのだ、、、、驚異的。
そのうち、パートのおばさんのなかでも特に強烈な個性を放つ、また顔つきも
ただ者ではない(患者として来たら怖そうな)おばさん、仮にAさんとしよう、
Aさんが「ああ、もうやってらんない!私もう辞めさせてもらうわ!」と
店内に響き渡る声で言ったのである。
最初は、私は事態が飲み込めなかったのであるが(当たり前だが)、
チーフおばさんとの
「あんた、そんなこと言って無責任な。今、あんたが帰ったら、こんなに
お客さんいてはるのにどうするの?」
「そんなこと言うたかて、もうがまんできへん」
と言った会話がたまたまレジの横の席で名物カレーを食べていた私には
克明に聞こえてきてしまったのである。
どうやら調理場の若者がAさんに対して暴言を吐いたらしく、
それに対して「あんな若造に、人格否定(Aさんが繰り返し言っていた)される
ようなこと言われて我慢でけへん」ということらしい。
長くなるので割愛するが、いや〜〜Aさんもしつこく怒っており、
「もう帰ります」と言いながらもなかなか帰らず、まるで吉本新喜劇を
見ているかのようなやりとりをチーフおばさんとしたあげく、
ついに控え室に入り私服に着替え店を出て行く状況になった。
そこでチーフおばさんがひとこと。
「あんた、私のような経営者が言ったひとことでなく、若いもんが言ったことに
いちいち腹立ててどうするの。
今、あんた店辞めてでてったら負け犬やで」
、、、、、、、う〜〜ん、すごすぎる。
結局Aさんは、ふたたび控え室に入ってエプロンをしてでてきた。
ふてくされてはいたが、少なくとも仕事はしていた。
私たち家族の視線を感じたのかチーフおばさんが
「すんまへんなあ、やかましくて」
「あ、いえいえ」
「いつも、こんなんですよ」
いつもこんなんなのか!
東京や横浜だったらNGだろうなあ。
恐るべし大阪パワー、圧倒された。
ということで、今年8月のライブでは上方演芸から影響を受けた
私のMCにもご期待ください。
あ、もちろんメインは音楽です。
新曲も披露します、、、まだ完成しているのは一曲だけだけど、
まだまだ作りますよ〜〜!
では、本年もKENSOをよろしく!